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築90年の民家を、DIYで心温まる隠れ家的バーに変身!「AZITO-BAR」

築90年の木造のあばら家を0から改装したというAZITO-BAR

築90年の木造のあばら家を0から改装したというAZITO-BAR

JR八王子駅南口を出て、多摩地域の幹線道路である野猿街道を東方面に歩いて5分ほどすると、左手にかなり古びた木造の民家が見えてきます。一見すると普通の古びた一軒家なのですが、実はこの建物には2軒の飲食店が入っています。
昼間は両店舗とも営業していないため、本当にただの古い民家にしか見えませんが、夕方になるとその様相は一変、古民家の佇まいを活かした、味のある酒場が現れます。
今回はこの古民家で営業している二店舗の内のひとつである、美味しいコーヒーとお酒をゆっくりとした時間の流れと共に愉しめるお店である『AZITO BAR(アジトバー)』にお邪魔して、おヒゲがイカしたマスターに、自分で1からDIYで作り上げたこのお店について、色々なお話を伺ってきました。

まさに今新しい机を製作中のマスター

まさに今新しい机を製作中のマスター

ーー現在飲食店としてこの場所で営業をされていますが、この物件は工事に入る前まではどのような物件だったのでしょうか?

外観から分かるように、築90年くらいの木造のあばら家で、元々は普通の住居でしたが、以前にこの物件に住んでらした方がお亡くなりになってから長い間放置されていたので、中はまるで廃墟のような状態になっていました。
引き戸を開けると、入り口から炊事場であったであろう場所まで土間が広がり、それに囲まれるように小上がりの畳の部屋がある、いかにも昔の形の住居でした。

ーーずいぶん古い物件のようですが、この物件をDIYで工事するにあたって最初にやったのはどのような事でしたか?

まず最初にやったのは、この建物のレベルを測ることでしたが、測定したところ床も柱も梁も、全て水平・垂直な箇所が見当たらないという状況でした。
土間である床に至っては、入り口から見て右奥から左手前にかけて急激に斜めになっており、その高低差は30cmもありました。工事の一番最初の工程としては、この床の高さを一定に揃える事から始めなければなりませんでした。

基礎工事からマスター1人で行ったというから驚き

基礎工事からマスター1人で行ったというから驚き

ーーお店をオープンされてから3年弱と伺っていますが、工期はどれくらいかかったのでしょうか?

2011年の2月に着工しました。工期としては四ヶ月間だったのですが、工事に入って1ヶ月くらい経った3月11日に、東関東大震災が起こりました。八王子でもかなり大きな揺れがあり、建屋そのものが相当古いものなので地震で崩れてしまう心配もありましたが、その点は大丈夫でした。しかし、地震が収まってから建物内を点検していったところ、地震の影響で柱から梁が外れてしまった箇所などもあり、早急にその補強をしなければならない状態になってしまいました。
工事を始めた時に仕入れた資材は、この頃にはほとんど使い切ってしまっていたのですが、ちょうとこの時期は資材の入手が困難な状況になっていました。震災による被害の復旧のために東北地方でたくさんの資材が必要となったので、近場のホームセンターなどは売り場の資材が非常に不足していて、店の工事に必要な資材が仕入れられなくなってしまいました。
ちょうどその頃、この物件の裏側で別の古い民家の解体が行われていました。古い木造物件に使われている柱や梁は、長い間その建物を支え続けてこれたように、良質な材木が使用されている場合が多く、資材として見れば宝の山とも言えました。
裏の物件の解体は、外国人の解体業者の方が1人で行っていました。最初は話しかけても訝しがられている様子でしたが、ちょくちょくお茶やお菓子などを差し入れしてるうちに徐々に仲良くなって、解体で出た廃材を店の建築資材として貰い受けることが出来るようになりました。貰い受けたそれらの木材を加工・再利用して、カウンター部分のベンチや梁、入り口の柱などのお客さんの目につきやすいお店の重要な部分も作成しました。
工事で出てきた膨大な量の廃材の処理も、そこで知り合った外国人の解体業者の方にお願いすることができて、かなり助かりました。以前に内装関係の仕事をしていた経験上、こういった廃材の処理には思った以上のお金がかかる場合もあるので、その処理を請け負ってもらえたのは幸運でした。

色々なサイズの木材を敷き詰めた壁

色々なサイズの木材を敷き詰めた壁

ーー店内を現在のような形に作り上げるにあたって、参考にしたりイメージ作りに役立った文献や映画などはありましたか?

インテリアや内装関連の雑誌なども参考にはしましたが、作るにあたって一番イメージし続けたのがテレビシリーズの『探偵物語』の主人公・工藤の部屋の雰囲気です。そのイメージを毎日しっかり持ち続けるために、毎朝工事をやりにくる前に、ドラマを一本鑑賞してから作業に向かっていました。あとは、ドラマの『私立探偵 濱マイク』でも美術監督をされていた種田陽平さんの作り出す世界観から受ける影響は非常に大きかったです。タランティーノ監督の作品などの美術もやられていて、その中でも種田さんの作るセット、お店、インテリアなどを自分の店作りの参考にさせてもらっています。

カウンターのガラスもマスターが選んで取り付けたそう、カウンターと相性ばっちり

カウンターのガラスもマスターが選んで取り付けたそう、カウンターと相性ばっちり

ーーお店は野猿街道という幹線道路沿いの立地ですが、この場所でDIYするにあたり、良かったことや悪かったことなどがあれば教えてください。

物件が一階である事と一軒家であるって事は、大がかりな工事などをやりやすく、良かった点だと思います。隣接しているのが友人のやっている飲食店で、そこの営業が夕方からなので、作業中の騒音などで周りに迷惑をかけずに済んだのも、この立地ならではだったと思います。
悪かった点や不便な点もいくつかありましたが、僕自身はお店を作っているのが楽しくて仕方がないという状態だったので、気になってはいませんでした。4ヶ月の工期のうち、前半は肉体作業が中心で、お店の大まかな形を作り出して、後半はそれぞれのディテールを考え、色々つめていきながら作り上げていくのが楽しかったです。
場所としての不便な点とは言えませんが、工事の工程上、非常に不便な思いをしたのが、トイレでした。元は0.5畳分の広さしかない、狭くて暗くて使いづらいトイレだったのですが、工事の当初からどうしていくかが悩みの種でした。その問題を先送りにしていたため、トイレを作るのは最後になってしまいました。なので、トイレ以外の部分の作業をしている間も自分のお店のトイレは使用できず、隣りのお店のトイレを借りに行って、そのままそのお店で飲んでしまった、なんてこともありました。

ウイスキーとマスターセレクトの音楽がピッタリなウッディで落ち着いた店内

ウイスキーとマスターセレクトの音楽がピッタリなウッディで落ち着いた店内

ーー最後に、これからDIYでの部屋作りを考えているという方にアドバイスなどをいただけますか?

実はこのお店、まだまだ未完成なんです。商売上の都合でオープン日までに作業が間に合わなかったところもあり、まだ仮作りの状態の部分もあったり…でも、そういったところを完成させていく内に、もっと頭の中のイメージが広がって、また作りたい箇所が出てきたりして、いつまでもDIYは続いていきそうな気がします。
自分がいたい場所をイメージして、自分の手を使って1からその空間を作り上げていくって作業は本当に楽しいものです。これからDIYでの部屋作りを考えてる人は、まずイメージを形にできる事を楽しんでみてください。最初は誰でも初心者なので、上手くできなくても大丈夫です。きっと楽しく作ることが出来るので、気軽にチャレンジしてみてください。

AZITO-BAR
〒192-0904
東京都八王子市子安町1-9-3
営業時間/夕方〜深夜
定休/無し

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