DIYで古民家のような雰囲気に!「穏坐」
東京の西に位置する大きな近郊都市の一つとして、また、多くの大学がある学園都市としても知られている八王子市ですが、実はお酒を扱う飲食店が多い街としても密かに有名でもあります。八王子の中心的な繁華街はJR八王子駅の北口側に集中していますが、駅と線路を挟んだ八王子駅南口方面にも、小規模ながら個性にあふれた、面白いお店がたくさんあります。
今回うかがった「穏坐(ONZA)」さんもそんなお店の一つで、店長の本山さんが創り出す様々な創作料理は、お味が抜群なのもさることながら、食べる人を目でも喜ばせてくれるような手間と工夫に満ちあふれています。
季節の旬を味わえる料理や、日本各地から取り寄せたこだわりのお酒なども楽しめるこちらのお店ですが、落ち着いた雰囲気で気兼ねなく愉しめる理由は、お店の作りにもありそうです。年季の入った感じの深いトーンの柱や、綺麗に仕上げられた真っ白の漆喰壁は、どこか懐かしさのような安心感を感じさせてくれます。
こちらの内装や外装は、水周りの設備や間口の製作などの専門業者にお願いするべきところ以外は、本山さんを中心にお友達やお店の常連さんに手伝ってもらいながら、DIYで作り上げたそうです。今回はその時の色んなお話を店長の本山さんに伺ってみたいと思います。
ーー現在、飲食店としてこちらで営業されていますが、本山さんが入る前までは、どのような物件だったのですか?
元々この場所には普通の居酒屋さんがあったようで、それが居抜きの賃貸物件として貸し出されていたのを借りました。トイレや据え付けてあったカウンターなどの配置は以前のままですが、工事をする以前には現在のテーブル席の位置に小上がりの座敷席がありました。そちらは撤去して床面の段差をなくしました。
自分たちで手を加える前までは、柱の色は今よりもずっと明るいナチュラルな木の色で、壁紙に至っては飲食店ではタブーとも言える青色でした。笑
小上がり席の撤去後の床の施工は業者さんにお願いして、自分で最初にDIYし始めたのは客席の柱の塗装と、壁の漆喰塗りでした。
漆喰を塗った経験などは今まで全くなかったので、この作業に慣れるのに結構な時間がかかりました。なかなか納得のいく状態に仕上げることが出来なくて、客席の壁を5箇所を完成させるために1週間ほどかかってしまいましたから、一畳分の広さを塗るのに1日かかってしまった事になりますね。
作業の途中で気付いたのですが、当然のことながら使う道具がかなり重要な要素でした。最初は100円ショップで売っているようなコテを使っていて、なかなか上手くいかず困っていましたが、もっとしっかりとしたコテをホームセンターで購入して使ってみたら、思い通りの仕上がりに作ることが出来るようになったんです。作業の効率と仕上がりを考えたら、ある程度いい道具を使った方が結果的には納得のいくものが作れると思いますよ。 ーーこちらの物件をDIYで店作りしようとした時に、完成形としてイメージしてたものや、参考にした映画や文献みたいなものはありましたか?
元々は、古くからあったような昔ながらの民家を改装してお店を作りたかったんですが、いざそのような物件を探してみるとなかなか見つからなくて…それで、イメージしていた古民家とは違いましたが、こちらの物件をDIYして、古民家の様な雰囲気の内装の店を作ることにしてみたんです。客席の柱の色や白い漆喰壁も、そういったイメージに合わせて色や素材を選びました。
このお店作りもそうだし、以前やっていたお店の改装なんかも自分たちの手で行っていたんですが、それには社長の奥さんがアメリカの方だというのが影響してると思います。欧米では、住居とかも借りた人が自分たちで手を加えていきながら、思い通りの使いやすい形にDIYしていくのが普通のことで、僕たちがお店を自分たちで作るのは当然のような感じでしたし、いざ自分で作ってみると思っていたほど難しくないし、結構楽しかったです。ーーこのお店のDIYで使った資材や道具などは、どのように準備したんですか?
ほとんどはホームセンターのムラウチで揃いましたよ。焼酎の甕を置くための棚やカウンター上部の棚も作れましたし、食器を置いてある棚も手作りできました。ただ、漆喰は思い通りの物がなかなか見つからず、取り寄せをしました。おかげで、落ち着いた、いい雰囲気の壁を作ることができました。
壁の漆喰塗りにはなかなか苦労した上に、結構な時間を割いたんですが、その作業が全て終わってから「漆喰風の仕上がりになるペンキ」があることを知りました。
ーー工事をしていた期間や時期はいつ頃でしたか?
工期は、専門的な部分を業者さんにやってもらって以降は1ヶ月くらいで、時期的には5月あたまから6月の上旬くらいまでです。もう少し遅い時期に工事に取り掛かっていたら梅雨時期にぶつかってしまい、漆喰やペンキなどの乾きが悪くなってしまったりして、工期自体が延びてしまっていたかもしれませんね。以前に別のお店の改装を2月頃にやったことがあるんですが、空調がきかず寒さがキツくてなかなか作業にならなかったことがあります。DIYは楽しいですが、カラダ的には重労働になってしまう場合もありますので、真夏や真冬に作業をするのは避けた方がいいと思います。
あと、時期的なものだけでなく場所(穏坐さんの近くには川が流れています)や使ったペンキなどの成分の問題なのかもしれませんが、お店の入口の壁を白く塗った時に、虫が大量にその塗りたての壁に集まってきたことがありました。かなりビックリしましたが、壁に虫除けスプレーをかけることで解決しました。今は5月ですが、その時のように虫が寄ってくることは全くないので、やはり使ったペンキの成分が原因だったのかもしれないですね。
ーーDIYでの作業などでは、騒音やホコリなどの問題なども出てきそうですが、そのような部分の対策などはありましたか?
ご近所の方には、当然かもしれませんが入った時に挨拶に伺いましたし、その際にしばらく工事をすることを了承していただきました。
作業自体もなるべく昼間に集中してやるようにしたり、入口にシャッターもあったので、それを閉めて中で作業したりもしました。ペンキもニオイの少ない物を使っていたので、工事の間の苦情などはありませんでした。
今回、水性のペンキを使ったんですが、ニオイも少ないし使いやすかったです。
目の前の通りは一方通行の路地なんですが、店の目の前には車を止められるスペースがあったので、資材を運び込んだりするのはラクでしたね。そのスペースに駐車してない時は、そこで棚を作る木材のカットなども出来たので、作業はやりやすかったです。ーーDIYでお店を作るにあたり、こだわった部分や思い入れの強かったところはありますか?
こだわりと言えば、やはり漆喰で塗った壁ですね。正直、漆喰を塗るという作業がこんなに難しいとは思っていませんでした。一気に塗らないと跡になってしまうし、思い通りの仕上がりに作れるようになるのに一週間もかかってしまいましたし。
でも、思い通りの出来じゃなかったり、仕上がりがあまり気に入らなかった場合でも、いくらでもやり直しがきくのがDIYの強みだったりする気がします。僕もDIYの経験はほとんどありませんでしたし、専門的な知識とかはありませんでしたが、説明書を読んだり、とりあえずやってみたりで何とかなりましたし。ただ、道具の良し悪しがかなり大事なことっていうのは、苦労した漆喰塗りから学びました。笑
DIYで作り上げて良かった事といえば、やはり出来上がったお店への思い入れが強くなることだと思います。様々な苦労と試行錯誤はありましたが、その分だけ思いが深くなりましたし、自分でお店を作った事をお客さんに話した時に驚いてもらえるのも嬉しいです。
棚の高さや配置も自分にぴったりの物を作れたりと、実用面でのいい点もたくさんありました。
ーー最後に、これからDIYでお部屋づくりをしてみたい人やDIYに興味がある人にアドバイスをいただけますか?
頭でやることを考えちゃうと難しそうだし大変そうにも思えますが、いざ作り始めてみると思っているよりもずっと難しくないことですよ。自分が普段使うものを作ったり、生活の場を好きな色に塗ったりって、やってみると楽しい事ですし、近くのホームセンターとかで必要なものもすぐに揃っちゃいますよ。できるものならば、自分の家もDIYしてみたいくらいです!
DIYでのお店作りや仕上がりがどんな感じになっているのかご覧になりたかったら、お食事がてらでも気軽に遊びにきてくださいね。
穏坐
〒192-0904
東京都八王子市子安町1-7-6 飯室ビル102
電話/042-646-3331
営業時間/月〜金 ランチ 12:00〜14:30
月〜土 ディナー 18:00〜24:00
定休/日曜日
ブログ/http://s.ameblo.jp/moto5649/
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