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ありきたりなオフィステナントを、明るく開放的で、商品を引き立たせる空間に「MODESTE」

 

真っ白で明るい空間のMODESTE

真っ白で明るい空間のMODESTE

東京都八王子市には「田町」と呼ばれる、一つの町として区分けするには随分と小さい地域があります。そこは、今では東京都下で唯一戦前の遊郭建築の残る地域と言われていて、町の所々に黒塗りの木の塀や古い建物などがあり、その当時の雰囲気を残しています。明治時代の大火を機に遊郭が移転してきて、元々あった町外れの田んぼを造成した場所に再建されたことから「田町」という名称になったそうです。

JR八王子駅北口を出て北に向かい、浅川にかかる暁橋という橋を渡る手前の西側に田町があります。今回DIY不動産で取材させていただいた「MODESTE(モデスト)」さんは、この町にあるカフェ&ギャラリーです。
四階建てのビルの一階にあり、気持ち良い日差しが入ってきそうな大きな窓と、白を基調とした内外装が居心地の良さそうな清潔感に溢れていて、閑静な住宅街でありながら他の地域にはない歴史と雰囲気の漂うこの町に、ひっそりとしながらも自然に溶け込んでいるような印象を受けました。

「八王子鉄工ビル」と看板の出ている、歴史を感じさせる重厚な造りのビルの一階であり、広々とした空間を持つお店なのですが、店内のほとんどの部分がDIYで作られているそうです!
今回はこのMODESTEを自らの手で作り上げたオーナーの望月さんに、お店作りやお部屋作りのDIYのヒントになる様々なお話をうかがわせていただきました!

いつも穏やかで優しいオーナー望月さん

いつも穏やかで優しいオーナー望月さん

ーー現在MODESTEを営業されている「八王子鉄工ビル」の看板のあるこちらの物件ですが、望月さんがお店を作るためにここに入る前は、どのような状態だったのでしょうか?

元々は色んな会社のオフィスが入っていた築45年のビルで、MODESTEのあるこの一階のスペースも、オフィスとして使われていたものが空きテナントとなっている状態でした。オフィスとして使われていたため、内部はスチール製のパーテーションで区切られていて、現在エアコンのある高さ一面に天井が張られていましたが、パーテーションは撤去し、天井は板を全てはがして、ビルの躯体部分をむき出しにしました。

この解体作業をほぼ自分一人で行ったのですが、これが結構大変な作業でした。高所での作業になるため、足場を組むところから始めなくてはならなかったし、外す部材によっては重たいものもたくさんあります。解体する範囲も大きいため、どのような順序で、どのように壊していくかをある程度考えて進めていく必要もありました。それを考えずに片っ端から壊し始めてしまうと、壊す必要のない部分や残しておきたかった部分まで壊してしまったり、ということも起きかねませんし、もし壊してしまった物をまた1から作り上げるとなると、なかなか大変な作業になってしまいます。
また、順序良く解体していくには、ある程度の構造物への知識があるといいと思います。僕の場合は父が大工をしていて、若い頃からその手伝いなどをしていたので、そういった知識があったのが利点となりました。

施工前:THEオフィスという感じ

施工前:THEオフィスという感じ

施工前:天井もまだありました。

施工前:天井もまだありました。

施工後:もともとあった天井を抜きとても抜けが良くなりました。

施工後:もともとあった天井を抜きとても抜けが良くなりました。

職人さんがコンクリートの隙間ひとつひとつにペンキを塗ってくれました。

職人さんがコンクリートの隙間ひとつひとつにペンキを塗ってくれました。

ーー店内はかなりの広さがありますし、ここで使われている什器の数々は望月さんが手がけたものだと伺っているのですが、ここで作業を始めてからオープンするまでの工期はどれくらいかかりましたか?

2011年の5月の連休から工事に入って、7月の中旬までに仕上げたので、店内で使用している什器の制作も含めて2ヶ月弱の工期を休みなく作業をして、なんとか完成させました。七月中旬のオープン日を先に決めていたので、それに間に合わせるため、かなり急ピッチの作業でした。作業の工程表を作成し、それに沿って作業することで、予定しているオープン日までに完成できるようにしました。

この物件を借りる前に、あらかじめ使用する什器を含む店全体の平面図を起こしておいたので、それぞれのサイズを落とし込んでおいたんです。その間取りの図面にそって作業をすることで、時間面と作業面におけるロスを少なくすることが出来ました。
全体の平面図を起こすのはなかなかの手間かもしれませんが、最初に間取りや什器のサイズをしっかり決めた図面を作っておくことで、結果的にはラクになります。入れるものをあらかじめ決めておくと、作っていく途中でも狂いが生じませんし、作業全体がスムーズに進みます。

望月さんが制作した間取り図。細かい所まできちんと考えてあります。

望月さんが制作した間取り図。細かい所まできちんと考えてあります。

ーーMODESTEを作るにあたり、今のような完成形をイメージする際、参考にしたものなどはありましたか?

まず最初に、スチール製のパーテーションや元々備え付けてあったシンクの撤去をして、天井を全てはがして躯体がむき出しのスケルトンの状態にしたのですが、その時点でイメージが固まってきて、今の形が構想出来ていました。LABORATORIOというギャラリーと建物の構造が似ていたので、完成形がイメージしやすかったのだと思います。

建物ごとに手を加えて出来上がるものって結構決まっていて、やりたいもの・作りたいものと元の建物が合致していないと、完成させるまでに余計な手間がかかったり、予算が大きく必要になってしまったりします。いろんな建物やお店を見ていくうちに、どの物件がどのような形に作りやすいかが見えてくるようになります。なので、お店を作るにしろ住居のDIYをするにしろ、最初にイメージしたものに近い物件を探すといいと思います。立地や家賃など、その他の条件で物件を選んでしまうと、やれることが制限されてしまい、最初のイメージからどんどん離れていってしまいます。

取材の日は作家さんの器をおおく展示販売していました。

取材の日は作家さんの器をおおく展示販売していました。

ーーどのようなお店で資材や塗料などを調達したのでしょうか?

この床材のようにネットを活用して仕入れた物もあれば、やっている会社を通じてコンパネや材木を運んでもらったりもしました。
ペンキは建デポで購入しました。ここは購入するのに会員になる必要がありますが、名刺などの身分証があればすぐに会員になれるし、オススメです。ロイヤルホームセンターやジョイフル本田などにも行きました。
天井や壁などは油性ペンキを使って2度塗り、場所によっては3度塗りしてあります。スケルトンにした天井は凸凹が多く、刷毛塗りでその凸凹を埋めてやる必要があり、ペンキ職人さんに手伝ってもらって作業を進めました。壁は自分で塗装したのですが、手順としては面倒な隅っこを先に刷毛などで塗ってしまい、ローラーで作業できる面積を広くしてあげることで、キレイに仕上がります。

また、油性のペンキは乾きが早く、よく心配されるニオイも2〜3日で消えて気にならなくなります。今回使用したのは建デポで購入した日本ペイントのケンエースの油性です。ペンキには色々な種類がありますが、塗膜の強さや掃除のしやすさなどを含めた塗装後の利便性、塗装面を長く保てる事などを考えると、ペンキに関してはケチらずにいいものを買うことをお勧めします。
トイレのドアの表面は、塗料を弾いてしまう材質で作られていたのですが、表面にサンドペーパーをかけてからミッチャクロンというプライマーを塗り、その上から塗装することでイメージ通りに仕上げることが出来ました。従来塗料が塗れないポリバケツのようなプラスチック素材や金属のメッキ面などにも、こういった工程を踏むことで好みの色の塗装が可能になりますよ。

すこし高価なペンキのおかげでいつも真っ白な壁

すこし高価なペンキのおかげでいつも真っ白な壁

ーーご自分で作業するにあたって、近隣への騒音やホコリの配慮など、どのようなご近所トラブル対策をされましたか?

静かな住宅街の中にある建物なので、騒音などが周囲に響きやすく、その点では注意が必要でした。床材の下に敷いたコンパネを下地のコンクリートにインパクトを使って打ちつける時などはかなりの騒音になるので、毎日の工事も極力19時くらいまでに終わらせるようにして、近隣の迷惑にならないように作業しました。

望月さんこだわりの入り口

望月さんこだわりの入り口

ーーDIYでお店を作るにあたって、こだわったことや良かったことなどあれば教えてください。

パーテーションや天井を撤去してスケルトンにした状態で、かなり良い雰囲気になっていたので、それを壊さないよう、なるべく手を入れずに仕上げるのを心掛けました。白い壁と黒っぽい床材にすることにして、工事をすすめました。ドアの取っ手には真鍮の板をはめ込み、店内に掛けてある時計にも真鍮の板を使っています。色々な素材とその特性を知っておくと、やれることの幅が大きく広がります。例えば、木材で作られた部分が日光を浴び続けたり空調が直接当たり続けたりすると劣化してしまうことなど、素材それぞれの特性を押さえておく事で防げる被害もあります。

それと、やるべき作業を全体を通して見た時に、プロに頼むべき所と自分でやる所を分けるようにしました。今回プロに手伝ってもらったのは、床材を張る作業と天井のペンキ塗装作業、コンクリートブロックによるカウンターの鉄骨作業の3箇所でした。プロに頼めば1日で終わる上にしっかり仕上がるところを、無理して自分でやろうとして1週間かかった上に仕上がりもイマイチ、というのを比べたら、多少お金がかかろうと、時間との兼ね合いも考えると、プロにお願いする部分があっていいと思います。しかし、全部を職人さんにお任せしてしまうと、作りたいものとのイメージとのズレも生じてきてしまう場合が多いため、そこのバランスは難しいところだとも思います。

この窓は当初からあったもの。この雰囲気がいいですよね。

この窓は当初からあったもの。この雰囲気がいいですよね。

職人さんに作ってもらったおかげで一日で作業終了

職人さんに作ってもらったおかげで一日で作業終了

ーー最後に、これからDIYでお部屋作りやお店作りを考えている人たちにアドバイスなどをいただけますか?

自分で出来るところには限界があり、難しいところや専門的な知識や技術が必要なところは、部分的なところでも無理せずプロに任せるなどして、頑張り過ぎないようにするのがいいと思います。
あとは、イメージがバラけてきちゃうと、変な仕上がりになってしまいますから、色々と目移りしてしまうのは分かりますが、あれもこれも、と手を出さずに、しっかりイメージを絞って進めてみる方がいいですよ。

MODESTE
東京都八王子市元横山町3-5-4-101
電話/042-686-0758
営業時間/10:30~18:30
定休/日・月・不定休

望月さんが大学生の時制作したスツール。当時からセンス抜群

望月さんが大学生の時制作したスツール。当時からセンス抜群

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