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ノスタルジックな老舗ダイニングバー「アルカディア」

二階の屋根くらいの高さまで吹きぬけた天井とバーカウンター

二階の屋根くらいの高さまで吹きぬけた天井とバーカウンター

東京の西部に位置し、都内でもいまだに緑の多く残る街としても知られている八王子に、30年以上前から続いている老舗のカフェダイニングバー「cafe arcadia」があります。
JR西八王子駅の北口を出て、甲州街道と中央線の線路に挟まれた通りを高尾方面に向かうと、静かな住宅街の中にそのお店は現れます。
白 い外壁に映える青々とした植物や、暖かみのある手作りの看板に迎えられて店内に足を踏み入れると、ここが住宅街の中にあるとは思えない空間に驚かされま す。二階の屋根くらいの高さまで吹きぬけた天井、歴史を感じるような重厚感のある板張りの床、そして整然と並んだたくさんの書物と1000枚を越えるLP の数々…このお店がずっと昔からここに存在していたような、初めてなのに思わず落ち着いてしまいそうな雰囲気が漂っていました。
ランチタイム・ディナータイムとそれぞれの時間で営業しており、店内は昼と夜とでは全く違った表情を見せてくれます。
昼は大きな天窓から自然光がさんさんと降り注ぎ、その光がテーブルなどの木の温もりとあいまって、ゆったりと穏やかな雰囲気を醸し出し、夜は月明かりがカウンターにこぼれ落ち、お酒と音楽と一緒にゆっくりと流れる時間と空間を愉しめる、そんな感じが漂っています。
このお店はマスターである高木さんが、高木さんと繋がりのある色んな人たちと共にDIYで作り上げたそうで、今回はそのお店作りの時のいろいろなお話を聞かせていただきました。

老舗のカフェダイニングバー「cafe arcadia」のマスターの高木さん

老舗のカフェダイニングバー「cafe arcadia」のマスターの高木さん

ーー元々はこちらの建物は繊維工場だったと伺っていたのですが、高木さんがこちらに入られた時には、どのような状態だったのでしょうか?

僕が入る前は、ここは事務所として使われていたみたいですよ。壁の塗装の位置を見てもらえると分かりますが、白いところまでが以前の壁で、その高さに天井があったんです。事務所なので蛍光灯もびっしりついていましたが、それを天井ごとはがして、更に天井裏だったところの垂木を外したりして、大がかりなリフォームをしました。
以前お店をやっていた所からこちらに移転したのが6年前の2008年で、書類を調べたらその時点で築77年だったから、現在で築83年の物件ってことになりますね。
ここの工事には知り合いの大工さん1人を含めて、延べ10人くらいの人に手伝ってもらいました。
物件を借りる前に脚立に昇って天井をはがして天井裏を見せてもらいましたが、天井をはがしても現在のような形に作り上げられるかどうかは、実際賭けみたいなものでした。

築83年で事務所として使われていた当時の写真

築83年で事務所として使われていた当時の写真

ーーキッチンやトイレといった水周りの設備は、元々備え付けられていたのですか?

元々あった水周りは全て壊してしまい、キッチンもトイレも作り直しました。店の奥側のカウンターの水周りなんかは1から作りましたし、水道管に配水するために、店の奥から道路側に向けて管に傾斜をつけなければなりませんでした。だから奥のカウンター席とソファ席の部分は、他よりも一段高くなっているんです。
小さいお店やお部屋のリフォームでは問題にならないでしょうけど、これだけの広さがあると建築の規定が厳しくなるので、大家さんと協議しながら耐震性・耐火性といった部分の強化もしっかりとおこないました。
そもそも大工仕事の経験などはありませんでしたが、色んな建物を見るために建築旅行にも行きましたよ!

マスターのこだわりや想いがたくさん詰まった店内

マスターのこだわりや想いがたくさん詰まった店内

ーーこういった雰囲気のお店作りをするにあたって、参考にした映画や文献みたいなものってあったのでしょうか?

特にこれと言って参考にしたものはないかなぁ、まず現場に入って作り進めていった感じでした。設計図も作るには作ったけど、あらゆる部分で設計変更が入ってくるから、その都度対処していったし、電気屋さんや大工さんとも結構やりあって作っていきました。入口は元々あったのを壊して、道路から見て少し奥に新しく作りました。その時に入口のドアをつけることがなかなか上手く出来なかったのですが、建具屋さんにお願いしたらアッサリ付けてくれました。
ここに移転する前のお店も自分の手で作っていましたし、仲の良い大工さんがホームドクターみたいな感じで今も建物を見てもくれているので、気がかりな部分の塗装や補修などは今でも時々やっています。カウンターやスツールなどは前の店から持ってきたんですが、ちょっとしたミスで高さのバランスが悪くなってしまって、スツールの脚を切って揃えたんですよ。難しいんですよ、スツールの脚をガタガタしないように揃えるのって!笑
店内の小物を見つけるのに、古道具屋なんかにも通いました。そういった店などで色々なものを自分の目で見て、自身でそれを知ることによって湧いてくる発想っていうのがありますし、先入観や記号化されてしまったモノへの認識ではない、自分自身の視点でモノを見ることが大切だと思います。

ーーこれだけ広いと、お店作りにも大きな資材が必要だったと思うんですが、材料などはどのようなところで準備したのですか?

材料は普通のホームセンターで買い揃えられますよ!橋本のロイヤルにも行きましたが、一番よく買いに行ったのが、瑞穂にあるジョイフル本田でしたね。大工さんの車に一緒に乗っていって、自分で材料を選んで車に積み込み、店に戻ってその材料を使って作業する、って感じでした。
作る際に出たゴミの量はかなり多かったですよ。天井をはがして垂木も外しましたから、それだけでトラック2台分の廃材が出ました。それらの廃材は産廃処理場に持っていって処分してもらいました。処分してもらう廃材の重さによって料金が変わってくるシステムで、廃材の処理で思ったよりお金がかかってしまいました。
工事していた期間は6年前の6月中旬から9月中旬の3ヶ月間だったのですが、夏場に作業しているにもかかわらず、空調が出来上がっていなかったので、扇風機をいくつも使って暑さをしのいでいました。実は、完成したのは9月の中旬なのにオープンしたのは9月1日で、オープン直後に来てくれたお客さんにもしばらくは扇風機で暑さをガマンしてもらっていました。笑

ツタが素敵なエントランス

ツタが素敵なエントランス

ーー周りが住宅ばかりという中でお店作りをするにあたって、困ったことやトラブルなどはありましたか?

床を全面板張りにしたんですが、通常はビスで床板を止めるところを、僕は釘でやったんです。釘を打ち込むのにカナヅチを使ってカンカンやるものだから、お隣のおじいさんに「うるさい!」と言われてしまったこともありました。
それと、この敷地に都市ガスのガス管がひかれていなかった為、ガスの配管工事をやってもらう必要がありました。店前の道路をかなり深く掘っての工事で、時間も丸一日から二日ほどかかるものだったので、工事の間はお店の前が通行止めになってしまい、少し不便になってしまいました。

ーー手作りでお店を作るにあたって、思い入れの深いところや、こだわった部分などはありますか?

こだわりとは言いたくないんだけど、床面を木の板張りにはしようとは強く思ってました。以前にやっていた場所でもやっぱり床を板張りにしていたし、やっぱり木の床のもつ雰囲気が好きなんです。
それと、お店でミュージシャンを迎えてライブもやったりするんですが、ライブの際にステージになる店奥のカウンター前のフロアには、ステージ用のライティングを設置してあるし、スピーカーやモニター、PA機材もしっかり常備してあります。ライブによっては入口近くまで立ち見のお客さんでいっぱいになってしまう場合もあるんですよ。

ランチ、ディナー、ライブ時でいろんな顔を見せるアルカディア

ランチ、ディナー、ライブ時でいろんな顔を見せるアルカディア

ーーそれでは最後に、これからDIYで部屋づくりをやってみたい、やってみよう、という方にアドバイスなどをいただけますか?

まずは、住みたい部屋・住む部屋の採寸をしっかりしておくことを勧めます。住むところを採寸してそのサイズを知っておくということは、ひいては家や部屋だけでなく、くらしそのものが見えてきて、それに対してコンシャスになることができます。こう住みたい!というイメージを持ちながら街歩きをするのもいいです。そのイメージ通りになるのにはたくさんのハードルが出てくるかもしれませんが、強い思いがあればどう越えていくか自分自身で探し出せると思います。そして、自分の住んでいる街を色んな視点で見て欲しいです。記号化された認識だけでモノを把握したつもりにならずに、自分の目で見て、自身で判断したりできるようになると面白くなってくると思いますよ!

cafe & bar arcadia
〒193-0835
東京都八王子市千人町3-18-9
電話/042-665-4905
営業時間/昼 11:30〜15:00
                夜 18:00〜26:00
定休/夜は無休、昼はブログ参照
ブログ昼/http://blog.livedoor.jp/salicorne-arcadia/
ブログ夜/http://blog.goo.ne.jp/cafe-arcadia

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